定款とは会社のルールや運営方針を定めたもので、「会社の憲法」と呼ばれています。会社法によって作成が義務付けられており、会社設立時に必ず作成しなければなりません。
この定款は2004年から電子定款制度により、従来の紙文書から電子文書による定款認証が可能となりました。電子定款制度により、コスト削減や手続きの効率化が進みました。
今回は電子定款の基本的な仕組みから作成手順まで、定款作成のポイントまで解説していきます。
電子定款とは、従来の紙文書ではなくPDF形式で作成され、電子署名が施された定款のことです。紙媒体でも、電子定款でも会社設立時には公証人による認証が必要不可欠です。電子定款では、この認証プロセスを電子的に行うことで、従来の書面定款よりもいくつかのメリットがあります。
・印紙代の4万円がかからない
電子定款の場合、印紙代4万円が不要になります。紙媒体の定款の場合、4万円の収入印紙の貼付が義務付けられていますが、電子定款では印紙税の課税対象外となります。
・申請手続きの効率化と迅速化
紙媒体の定款では公証役場への訪問が必要ですが、電子定款では、オンラインによる申請が可能です。ただし、オンライン申請後の修正は出来ませんので、事前に定款内容をチェックしてもらうために、公証役場で事前確認を実施します。
・初期費用がかかる
電子定款作成には初期費用がかかります。具体的には電子証明書付きのマイナンバーカードやAdobe Acrobat等の電子署名ソフト、法務省提供の電子署名プラグインソフト等が挙げられます。
・手続き上のハードルが高い
初期費用で挙げた、電子署名ソフトでの操作方法であったり、PDFの作成、編集が必要であり、手続きに慣れていないとハードルが高く感じます。
・複数の発起人の場合、複雑になる
発起人が複数いる場合、全員のマイナンバーカードと電子証明書を取得し、各々が電子署名を行う必要があります。
定款作成において理解すべき記載事項は3つのカテゴリーに分類されます。
記載がなければ、定款そのものが無効となる事項です。
株式会社の場合
・商号(会社名)
・事業目的
・本店所在地
・設立に際して出資される財産の価格またはその最低額
・発起人の氏名または名称および住所
・発行可能株式総数
合同会社の場合
・商号
・事業目的
・本店所在地
・社員の氏名・名称および住所
・社員の責任有限性
・社員の出資の目的およびその価格
記載がなくても定款自体は有効ですが、記載がなければ効力が生じない事項です。
・株式の発行
・株主名簿管理人
・単元株式数の定め
・株式の譲渡制限
・取締役。監査役の任期短縮
・役員報酬の定め
法令の範囲以内で自由に決められる事項です。
・株主総会の招集手続き
・議決権の行使方法
・事業年度
・公告の方法
手順1:定款内容の準備
事業目的や事業展開等の内容の検討ができたら、Wordなどで定款を作成します。
手順2:電子証明書の取得
住民票のある市区町村役場で、マイナンバーカードに電子証明書を記録してもらいます。
手順3:PDF化と電子署名
作成した定款をPDF形式で保存します。電子署名ソフトを使用して発起人の電子署名を付与します。その際、複数発起人がいる場合は、全員の電子署名が必要です。
手順4:事前確認の実施
オンライン申請をするまに事前のチェックとして公証役場で事前確認を実施します。
手順5:オンライン申請
登記・供託オンライン申請システムを利用して申請を行います。
申請者情報の入力や申請送付とのダウンロード、電子定款データのアップロードを行います。オンライン申請と並行して認証手数料を支払います。
手順6:認証完了と受取
認証完了後は公証役場で受取ます。
受取時、必要なもの
・USBメモリー
・発起人の印鑑証明書
・身分証明書
・印鑑
・紙媒体の定款
電子定款作成はノウハウが必要な要素が多く、また機器やソフト代の費用を要する為、当事務所のような専門家に依頼をすることをおすすめします。
当事務所への手数料が生じますが、電子定款にすることにより4万円の印紙代が不要になるなど、トータルでみるとコスト抑えることができます。
当事務所ではICカードリーダーや電子署名ソフトを保有しており、定款作成から認証手続きまで一貫して対応いたします。
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